1986年アメリカ合衆国・シカゴ生まれ。
ノンヒューマン・アーティストとして、従来の写真と音に加え人工ニューラルネットワークや仮想現実、立体音響を用いたインスタレーション表現に挑戦。人工知能のみる風景に流れ込む人間の像を観察する。代表作に「その-それら| It is that it is」、「ことばおどる」、「Abiotope」など。
2017年に渡英、Royal College of Artにおいてファインアートフォトグラフィーの修士号を取得中。修士論文「It can sing; it can compose; it can shoot」で首席。
アクリル、3,151,829のSNSポストをのインクジェットプリント
569 x 569 mm
2019年
Inquire Art Platform Tokyo
人種のるつぼ、否、サラダボウルである。そう呼ばれて久しいが、SNSの広まりによって私はむしろ今、我々の文化や思想、世界の見方が急速にコンチェ*されていっているように感じる。
インスタグラム上でみられるライフスタイルの溶解(インスタグラミズム)や、リツイートによる扇動の代行、検索結果の偏り(フィルターバブル)など、われわれの多様性共立は各ソーシャルメディアに委ねられたのではないか。
「コンチェされた肖像」は立石の作品シリーズ「その-それら[It is that it is]」の新作である。インスタグラム上のハッシュタグに紐付いた膨大なイメージを蒐集、人工知能を用いて分析し一つのイメージに再構築することで、肉眼で捉えることのできない社会概念そのものを可視化させる。本作では、メキシコではじまり、3000年かけて世界へコンチェされていったチョコレートの歴史を、メキシコの象徴であり、女性アーティストの象徴としてコンチェされてゆくフリーダ・カーロ像に重ねて視た。
#fridakahloに紐付けられた3,151,829イメージから、カーロに扮したセルフィー画像群を1つのイメージに落とし込んだ。ぼやけた輪郭の間に浮かび上がったのは一本眉、赤いリップ、赤い花冠に赤い衣装だ。カーロの特徴を捉えてはいるが、比較的に整いすぎた眉、オーディエンスを意識したような微笑が、集合意識として現れている。
コンチェされた世界でのアイデンティティは、小さな変化[small variations]と微細な差異[subtle differences]によって確立されている(Manovich, 2018)。朧げなカーロの眼差しの中にわれわれの今を見出したい。
*コンチング:ココアバターを撹拌し均一化させることで舌触りをよくし風味をより活かす、1879年に発明されたチョコレート製造の工程
展示場所 : 3階 ⑭
アクリル、4,479のSNSポストをのインクジェットプリント
569 x 569 mm
2019年
Inquire Art Platform Tokyo
人種のるつぼ、否、サラダボウルである。そう呼ばれて久しいが、SNSの広まりによって私はむしろ今、我々の文化や思想、世界の見方が急速にコンチェ*されていっているように感じる。
インスタグラム上でみられるライフスタイルの溶解(インスタグラミズム)や、リツイートによる扇動の代行、検索結果の偏り(フィルターバブル)など、われわれの多様性共立は各ソーシャルメディアに委ねられたのではないか。
「コンチェされた肖像」は立石の作品シリーズ「その-それら[It is that it is]」の新作である。インスタグラム上のハッシュタグに紐付いた膨大なイメージを蒐集、人工知能を用いて分析し一つのイメージに再構築することで、肉眼で捉えることのできない社会概念そのものを可視化させる。本作では、メキシコではじまり、3000年かけて世界へコンチェされていったチョコレートの歴史を、メキシコの象徴であり、女性アーティストの象徴としてコンチェされてゆくフリーダ・カーロ像に重ねて視た。
#minifridaに紐付けられた4,479イメージから、カーロに扮したスナップ写真群を1つのイメージに落とし込んだ。本ハッシュタグはインスタグラム上で出現した社会概念である。イメージの多くがカーロに扮した子供のスナップ写真で、カーロ独特の表情は残されていない。鮮やかな花冠と一本眉[unibrow]としてカーロの概念が拡がったものと考えられる。
コンチェされた世界でのアイデンティティは、小さな変化[small variations]と微細な差異[subtle differences]によって確立されている(Manovich, 2018)。朧げなカーロの眼差しの中にわれわれの今を見出したい。
*コンチング:ココアバターを撹拌し均一化させることで舌触りをよくし風味をより活かす、1879年に発明されたチョコレート製造の工程
展示場所 : 3階 ⑭