愛知出身、東京在住。三田村は彼女のサイトスペシフィックな作品を通して、国籍や人種の枠を超えて人間誰にしも覚えがある気まずい、あるいは愛しい感情や思い出を、観客と共有するような作品を国際的に発表してきた。それらの作品は、文化的な違いや国境を超越して、人間の生き方に対する共通理解を促す。1994年に東京で個展を催したのち、モスクワ、ウィーン、ケルン、ストックホルム、ヘルシンキ、ベルリンなど、各国で積極的に個展、グループ展を展開している。
ステートメント
「人が足を踏み入れられるドラマ」をテーマに、日常の記憶や追憶のモチーフを、写真や映像、日用品など様々なメディアと組み合わせ、私小説の挿話のような空間作品を制作し国内外で発表。滞在型アートプロジェクト「Art & Breakfast」では、世界各地のアートスペースに滞在しながら鑑賞者と朝食を共にし、旅の中で見つけたモノや気づきから日々生み出すインスターレションが、生活の中に浮かび上がる社会や文化の問題を、ユーモアと批判的な眼差しを持って演じ、観る人々の内面に現れる物語を投影していく。
ピグメントプリント、アクリル他
500Ø x D30mm
2019年
Inquire Art Platform Tokyo
偶然手にした古いネガフィルム。
そこには見知らぬ家族の幸せそうな日常が焼き付けられている。
庭先で陽光を浴びた女性が、モノクロのプリントの中から私を見て笑っている。今では誰の記憶の中にも存在しないであろう彼女のその姿は、いつかどこかで見た光景から呼び覚まされた色と光で鮮やかに彩色され、私の中で映像のように再生される。その一瞬に刻まれた彼女の輪郭を、この手でもう一度なぞってみる。
この作品はベルギーの蚤の市で売られていた1930年代の古いネガフィルムを元に、時空と記憶の複雑なレイヤーを表現しています。いにしえの人々がチョコレートを口に入れる日常を写真から想像しています。
展示場所 : 2階 ⑥